コントラスト~「て・そ・ら」横内航編~
4、行動にうつすレベル
ここ最近、雨ばかりだ。
俺は自分の席で片手に顎をのっけたままで、ぼーっと窓の外を見る。
しとしとしと・・・って音が聞こえるようだった。今日も雨が降っていて、しかも風向きがこっち方向らしく教室の窓にざかざかぶつかって流れていく。窓はまだら模様になって、景色など見えないほどだ。
・・・結構な雨だよな~・・・これじゃまた部活はなしかな。
雨でも勿論、筋トレや素振りなどは食堂前の屋根があるところでするのだ。だけどこの秋の長雨でず~っとそんな部活動だったから、飽きてきている。
ああ、青空の下でラケット振り回したい・・・。つかとりあえず、青空がみたい。梅雨より酷いだろこの雨。
授業中にもかかわらずそんな態度で俺がぼーっと窓の外を眺めていると、隣の席から小さな声がした。
「横内君、せっかく起きてても余所見してちゃ怒られちゃうよ?」
目を窓の外からずらして隣を見ると、やたらといい姿勢で教科書を開いている竹崎さんがこっちをみて微笑んでいた。背筋が真っ直ぐにのび、両足を揃えて座っている。・・・見本みたいな生徒だな。
「あ、うん」
俺は小さくそう答えて肘を机の上から離して前を向く。
廊下側の一番後ろの席、そこが担任が決めた俺の定位置だ。席替えがあればその隣は変わるけど、俺は決まってここ。だから自分の席から窓側を見ようと思うと、自然と後方からクラス中を見回すようになる。
その視線の途中には、勿論隣の席の女子も入ってしまうわけで。
はあ、と思わずため息を零した。