コントラスト~「て・そ・ら」横内航編~
小中学と水泳一筋だった。修学旅行も家族旅行もいかずにタイムを縮めるために練習にいっていたあの日々。
俺は今それを抜け出して、ほどほどにスポーツもし、ほどほどに勉強もし、それからほどほどに恋だってしたいのだ。そんなお年頃、のはず。
気になる相手がいて、同じクラスだ。人見知りなのかあまり他のやつらと喋らない、交わらないあの子とクラスで一番話す相手は俺であるとの自信がある。だから、もうちょっと近づきたいのだ。
お守りを、急ではあったが渡せたこと。彼女が嬉しそうなそぶりをみせてくれたこと。その二つが俺にかなりの勇気と満足を与えていた。
これからはもっと話しかける。
それに、もっとアプローチをしていきたい。俺は君のことが知りたいって――――――――――・・・
「うわああああああ~」
あまりにも照れてしまって、俺はたまらずベッドに転がり込んで枕に顔をぐりぐりと押し付ける。
ヤバイヤバイ!体中が熱くて溶けてしまいそうだってば!!
きっと今は顔も真っ赤なはずだ。
・・・俺ってば・・・・一人でかなり、青春・・・。
だけど、難しかった。
席が遠いってこんなにハンデに感じるものなのか!ってびっくりしたくらいだ。
全然話す機会などないのだ。俺はいつでもジリジリしてチャンスを狙っていたけれど、そんな時になって学校は忙しい秋だったりする。つまり、実力テストとか文化祭とかそれに伴って委員会とかクラブ活動とか、色んな行事が目白押しなのだった。