コントラスト~「て・そ・ら」横内航編~
ラリーは一年生から始めているから、アップが終わったばかりの2年の順番は確かにまだまわってはこない。だけど、くそ。そういうのはお節介っていうんだよ!
俺はぎろりとヤツを睨んで、仕方なくフェンスのドアをあけて外へ出た。
風が吹き渡り、グランドの土を巻き上げていく。
何やら小声で話しながら、気分が良さそうに寝転んでいる佐伯ともう一人の女子の方へ、俺は草を蹴って駆け下りて行った。
幸田に感謝する気にはならない。だけど、会話は望む。
距離が近づいたときに、挨拶もなしでいきなり言った。
「・・・何でこんなところで寝てるんだ?」
「えっ!?」
ばちっと目を開いた佐伯が、すごい勢いで跳ね起きた。ちょっとびっくりするくらいの激しい反応だな、うん。
「よ、横・・・うち、くん」
上ずった声、きっと、見開いている目。それは面白ろそうで是非見たかったけど、とりあえず俺は目で転がって消えたボールを探す。
その時、彼女の隣で一緒に寝転んでいた女子が言った。
「あ、ボールならあそこですよ~」
発見。
俺は感謝の変わりに頷いてみせて、更に斜面を降りて行った。・・・くそ、幸田。なんてヤツだ。とってこーいなんて、俺は犬じゃねーよ。