コントラスト~「て・そ・ら」横内航編~


 やっぱり美術部の活動だったんだ。でもそれで、どうしてこの場所を?もしかして野球部やサッカー部を写生の対象に選んだんだろうか。・・・・・・だとしたら、結構ダメージがでかいんだけど。

 自分で考えて凹んだ。

 頭の中に野球部やサッカー部の面々がずらずらと浮かんでは消えていく。ああ、あの中のどれか一人のことを佐伯が好きだったらどうしよう―――――――――――

 その時、上のコートから幸田の声が降ってきた。

「航~!ボールあったかー?番、回るぞー」

 ・・・くそ。ここで邪魔すんのか、お前は。

 恨めしくそう思ったけど、幸田の声には慌てた感じがあったから、もしかしたら顧問が来たのかもしれない。そりゃ確かにやばいよな!そう思って俺は返事をする。

「おー、行く行く」

 残念感が半端ない――――――――そう思いながら斜面を上がり始めると、後ろからびっくりするような大声が飛んできた。

「あの・・・お守り!」

「え?」

 驚いて振り返る。

 今の声、もしかして佐伯?

 草の上に座り込んだ佐伯はちょっと顔が赤かったように思う。だけど少しだけ間をあけて、もういつもの声になって小さく言った。

「前に貰ったお守りね、あの、ありがとう。お陰で朝学習乗り切れたから」


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