コントラスト~「て・そ・ら」横内航編~


 よし、言った!だけど・・・

 これ以上は無理だあああああああ~!!

 彼女は何か言ったのかもしれない。だけどそんなの聞く余裕が俺にはゼロだった。

 俺はもう後は振り返らず、ダッシュで斜面を駆け上がる。それからドキドキと煩い心臓を無視して戻ったコートで、今度は違う意味で心臓が凍りそうになったのだ。

「・・・・う」

「あ、横内が戻りました」

 緊張した幸田の声が聞こえる。

 そこに整列するのはうちのクラブの2年生。前には顧問。そしてそれを気まずそうに見る1年生達。

 ・・・・あ、超やべ。

 顧問がこっちをちらりと見て言った。

「横内、どこでサボってた?早く並べ」

「・・・はい」

 ・・・・電車、会えないかも。

 俺は引きつり顔を何とか押さえて、コートの中へと入って行った。



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