コントラスト~「て・そ・ら」横内航編~


 文化祭の練習が始まった。

 山の上にあるうちのマンモス学校の文化祭は有名で、各クラブや委員会がかなりしっかりとしている為に生徒数にちゃんと比例して出し物が多い。

 それぞれの委員会、それからクラブ、それから勿論各クラスごとに、出し物があるのだ。それに参加する生徒は、ほんとーに大変・・・。

 火を使ってもいいしグランドや屋上の使用も許可されている。歴代生徒会が頑張りまくってまとめているのだと思うけど、とにかく他の街にまで有名であるらしいうちの高校の文化祭を目当てにして受験する生徒もいるらしいから、その盛り上がりたるや凄まじいものがあるのだ。

 だから勿論、練習にも身が入るってもので。

 委員会やクラブで食べ物屋の屋台や博物館系見世物が多いので、クラスの出し物としては合唱や演劇が普通だ。

 うちのクラスは合唱に決まったらしい。

 俺は知らなかった。だって、寝てたから。

 とにかく合唱部に入っているらしいクラス委員の飯森さんの指導で、俺達は今、音楽室にいるのだ。合唱の練習の為に。そうして、俺と寺坂はガッツリと飯森さんに怒られている。

 主に、口パクしたことについて。

「ちょっとー!!寺坂君、それから横内君も!口パクしてんじゃないわよ、ちゃんと判るんですからねー!!」

 クラス中から笑いが巻き起こる。

 俺達を怒る飯森さんの顔が申し訳ないが滑稽で。それに、寺坂が元々調子のりっていうのもある。

 隣でふざけた事を言うから、一緒に怒られているのについ笑ってしまうのだ。


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