コントラスト~「て・そ・ら」横内航編~


 気になる子が出来た。その子を好きになったらしい、から、もう完全に、好きなんだろうって状態になってしまっている。

 では?

 じゃあじゃあ、その次はどうしたらいいんだ?

 普通はどうする?どうしたらその気になる子、は彼女になるんだ?

 当たり前だけど、本当は判っていた。だけど俺はそんな風に疑問を頭の中でぐるぐると回転させる。強くて冷たい風、それに頬を叩かれているみたいだった。

 馬鹿だな~、お前!って。

 今だろ、二人っきりなんだよ?って。

 とりあえずぐだぐだ考えないで、告白してみれば?って。

 バシバシバシ!!

「寒い寒い寒い!」

 つい口に出していってしまった言葉はそれだった。

 世間の風は冷たいな、なんて冗談を言ってる場合じゃない。確かに、今はかなりのチャンスなんだろうって思うから。

 可愛くなってしまった佐伯と、屋上で二人。こんな寒い日に屋上でぼーっとしてる奴らなんて絶対俺達だけに決まってる。だから暫くは邪魔もこない!

 ・・・言え。言えってば、俺!言えよー!

 だけど勿論、いきなり「好き」だなんて言葉を言えるはずがない。だからとりあえず、最近の彼女と自分の行動から追うことにした。

「・・・よく来てるよな、ここに。下からいつも見てた」


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