生徒会のスガオ
「変な部活もあるからな。ノリ愛好会とかな」

「食べるノリ?」

「いや、塗る方のノリ。くっつく方のな」

「部費とか経費とか……勿体無い」

「あー問題ない。大会とか、学園の名に関わらないものは経費はないから。趣味でやってるもんは実費にさせてる。だから好きにやらせてる代わりに関与もしない。部室も勝手に見付けろ、だしな」

「……なんか趣味の部活が多そう」

「タブリも許してるからな。そのせいか、関与してない部活に普通のスポーツの部員よりも多いところがあるな。コーヒー部だったかな」

「どんな活動してるの」

「世界中のコーヒーを集めて談笑するってやつ。あと、関与してない部活から認められたのもあるな。ゲーム部とか小説部とか。ゲームの方は、手作りを競ったり遊んだりで大会があるらしいな。小説の方は部員たちで創ったものが賞を取ったりでランクアップした」

「……すごいね」


あっけらかんと答えるしかなかった。だって普通は考え付かないことじゃない。趣味で始めた部活が賞を取ったり大会が見つかったというだけで格上げされて。


「うーんとね、もしかして把握出来ないほど部活あったりする?」

「そうだな。何年も部員がいない部活もあるだろ」

「そんなもの廃部でしょ!?」


なんで廃部にしないんだろう。二桁は確実にあるだろう。もしかしたら三桁かもしれない。
この学園ってけっこう古いから、歴史のある部活もあるんだろうな。


「和歌を愛する会とか」

「さすがにそんな古いのはない。あっても百人一首だろ」

「カルタしか出来ない」

「奇遇だな、オレもだ」


関会長が話しやすい人だと分かってちょっと安心。だけど月居くんと同じで私の昔を知る人だから安心は出来ない。


「どうして嫌がる」

「え?」

「別に良いだろ。前のままでも」

「……」


月居くんと同じことを言うんだね。ありのままで良い、素のままで良い、自然な君が良い。
私はそれが嫌だから演技をしてるだけであって……。


「意味はない」


特にこれといってこだわる理由もないんだけど、ただ嫌だから。昔の頃の私に戻るのが嫌だから。
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