生徒会のスガオ
廊下を歩いていると、色んな生徒たちが通り過ぎる。何割かが演技をしてて、何割かが素のまま話している。

どちらも幸せだと私は思う。演技をするのも、ありのままも。


「あれ?」

「……」

「ストーカー!?」

「はっ。叫ばないでください!」


しゃがみながら壁に隠れてる人を見かけて私は大きな声を出した。すると、その人は私の腕を掴んで引っ張って口を押さえた。


「んんんん!?」

「静かに!」

「……」

「静かにしますか?」


何度も頭を上下に動かすと、ようやく口を塞いでいた手を離してくれた。何度も深呼吸を繰り返した。


「ストーカー!?」

「だから叫ぶな!!」


本気で怒られてしまった。大声を出した結果だから仕方がないけれど、穏やかな口調ではないことに驚いた。


「木之本さん、何してるの」

「……ストーカーじゃねぇですから」

「まだ怒ってる」


どうやらキレると口調が厳しくなるようだ。それでもしっかり敬語にしようと必死だった。
木之本さんが見えている何かを確認してみると、ショートカットの茶髪の女の子が友達らしき子と話していた。


「可愛い子だね、好きなの?」

「違います」

「なら何でストーカー?」

「違います」

「……だったら何?聞きに行っちゃうよ」

「……妹なんです、あの子」

「……あー、シスコンなんだ」

「どうなんでしょうね。ああ見えてモテますからしつこい男もいましてね」

「なるほど。確かに可愛いからモテるだろうね」


実の妹にそんなこと言うのだろうか?それに、妹をストーカーって気持ち悪いことこの上ない。それに、見た目からしてもう危ない。
私も変な人間の一人に加えられそうだ。
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