生徒会のスガオ
「生徒会に誰か入らないか?」
生徒会に入る人がいないのか、担任が声をかけても手を上げることはなかった。
ポリポリと頬を軽く掻いてから、ふと手を上げた。
「坂倉、おまえがやるか」
「はい」
「お人好しだなぁ、坂倉」
「頑張れよ、坂倉」
「ビックになれよ、坂倉」
「生徒会長になって休みの日を増やしてね、坂倉ちゃん」
私が立候補をすると、クラスメートたちが盛り上げるように話す。後半は意味が不明なものになってることに、私は人知れず笑った。
「昼休みに集まりがあるから、離れにある旧校舎に行くんだ」
「はい」
席に着くと、すぐに授業が開始された。もし立候補をしなかったら長引いた可能性がある。律儀に頑固で融通の効かない教師のため長引くと休み時間まで潰されただろうね。
「昨日の勉強の続きで」
教科書を開いて黒板にカツカツと公式を書いていた。昨日の最後に書いていた公式をまた書いていて、けれど、少し文字を間違えていたと付け加えた。
「先生ちょっと初デートだったから緊張しちゃって……、あ、ここ笑うとこだぜーって」
軽く笑いながら教師が答えた。堅物な性格から想像もしないギャグ(?)に沈黙となると、なんちゃってーと話したがやはり沈黙。
「先生、無謀にも挑まないでください」
「……だよな。すまん」
一番先頭にいる女子生徒が空気を壊すように止めると、教師は素直に謝った。何が堅物な彼を変えたんだろう。ギャクなんて言ったことがない人なのに……。