生徒会のスガオ
「双子?」

「年子です。一歳下で」

「ふうん。でもさぁ、妹が可愛いってことは兄も顔は良いってことだよね」

「……」

「うわ、シカトされた」


急に話が聞こえなかった風にしたことに私はムッとした。
楽しそうに話してる妹さんたちは、この兄をどんな風に見ているんだろう。

そして、私たちを訝しげに見て通り過ぎる生徒たちにどう思われてるんだろう。


「ストーカーって、女の子もいるのね」

「は?ちがっ!私は違う!この変態とは違う!」

「僕も違いますよ!」


先に立ち上がった私に続いて木之本さんも立ち上がった。
三宅さんが相変わらずローブ姿で顔を出さずに立っていた。

私たちの声を聞いた妹が近付いてきた。


「お兄ちゃん!もう止めてよ恥ずかしい。私はもう子どもじゃないのよ!」


本気で怒った妹に兄である木之本さんがショックを受けている。頭を下げても七三前髪がずれないのはジェルで固めているのだろうか?


「だってほら……不良が多いですから」


しっかり者でもある木之本さんが狼狽えている。意外にも妹には弱いんだろう。
関会長が頼りまくっている木之本さんの弱点なんだろう。


「私だってしっかり見えてるから、騙されたりしないもん」

「騙されないって言ってるほどほど騙されるからね」

「新人、黙りなさい」

「わあ、こわーい」

「ふふ……棒読み」


三宅さんが不気味に笑っていた。声が低いせいか、周りの気温が下がっている。


「とにかく!私のことは良いから、お兄ちゃん卒業出来るように頑張ってよ。危ないって聞いたよ」

「そんなことはないです。誰がそんな嘘を広めたんです。今すぐ呼び出しなさい。今すぐです」

「木之本さんって、腹黒?」

「裏の……ボス」

「なるほど」


三宅さんが言うには、木之本さんは腹黒で裏のボスのようなものだと。じゃあこの学園を支配してるのは木之本さんってことになる。

理事長……存在している意味があるのか謎になっていく。解明されていく謎と、深まっていく謎が交差していく。
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