生徒会のスガオ
「と、とにかく!あなたがしっかりしないと、あなたは仕事を失う上、大好きだっていう女の子も見れなくなるから!」

「お嬢ちゃん、名前は?」

「は?」


意外な切り替えに私は間抜けな顔になってしまった。力のバランスを崩すような空気になり、私は怒りをぶつけることは出来ず、素直に答えていた。


「……坂倉です」

「坂倉ちゃんね。本当は名前が聞きたいんだけど」

「坂倉です」

「……意地でも答えないってわけね。まあ、確かに仕事をクビになるのは嫌だしな。坂倉ちゃん恋人いるの?」

「……いや、いないけど」


チラリと後ろにいる月居くんを見てみたが、よく分からない。恋人じゃないし、気になる相手だけど……恋人じゃないし。


「じゃあ、俺と付き合おうよ」

「え!?」

「……」


手を伸ばしてくる男に私は驚いてしまった。人生初の告白が年上でこんな軽そうに言われるなんて……。なんか、ちょっと辛い。

けど、月居くんはその手を払った。


「なに、おまえ。不審者だな」

「あ、まだ強盗ファッション」

「生徒会の……月居です。あなたに不審者だと、言われたくはない」


いや、十分不審者だと思うよ。誰もがその格好に悲鳴を上げると思うし。
でも、なんか機嫌が悪そうな声だ。


「……坂倉ちゃん、俺は綾川」

「あやかわ、さん?」

「携帯電話の番号教えてよ。交換しよ」

「……サボらないと誓うなら」

「こんな奴に教える必要はない。教えるだけ無駄だ」

「おまえなぁ、俺に何か恨みでもあんの?それとも、坂倉ちゃんのこと好きなの?」

「……」


月居くんは否定も肯定もしなかった。綾川さんの身勝手な行動に怒っていたのか、私も簡単に乗ってしまったことに対して怒ってるのか沈黙のため分からなかった。
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