生徒会のスガオ
綾川さんに別れを告げ、部室に向かう最中、大きなことが起きた。
後ろを歩いていた月居くんが私の腕を掴んだ。
「な、なに?」
「おまえ、軽すぎ」
「へっ?体重のこと?んなわけないよね」
「……誰にでも番号渡すんだ」
「それは……」
月居くんと目を合わせられなかった。恋人でもないのに何を言ってるの。期待してしまいそうな自分がいる。
「どうせアドレス帳には男の番号ばっかりだろ」
「二桁もないです」
「……は?」
「家族と友達と……二桁もない」
「……」
「どうせっ寂しい人間だよっ!!」
私はムキになって答えた。普通の人はどれだけあるんだろう。二桁以上はあるのかな。
月居くんは小さく息を吐くと、私を掴んでいた手とは反対側の手でポケットから携帯電話を取り出した。
「早いね、打つの」
「……昔から器用なんだ」
「へぇ」
「ほら」
「え?」
「……アドレス帳、増やせよ」
「それって」
「俺のでも二桁いかないのか?」
「……あ、ギリギリいく」
ちょっと……ううん、すごく嬉しかった。月居くんの優しさと、番号と埋まっていくことが。
目の奥が熱くなって泣く瞬間みたいになった。
「……なに泣いてるんだよ」
「あれ……なんでかな、分かんない」
「そんなに寂しいのかよ。数が埋まれば良いってもんじゃないだろ」
「ちがうのっ」
「だったら何だよ」
「……こういうとき、黙っててよ」
「……女心なんて知るか」
「良いよ知らなくて。知ってたら月居くん、女の子になっちゃうし」
「なんだよ、それ」
笑ったような声がした。ケンカどはなく、ただの話し言葉。アドレス帳で確認する月居くんの名前。名字しかなくて、私たち同じ書き方をしてる。
わたし、少しだけ月居くんに近付けた。
後ろを歩いていた月居くんが私の腕を掴んだ。
「な、なに?」
「おまえ、軽すぎ」
「へっ?体重のこと?んなわけないよね」
「……誰にでも番号渡すんだ」
「それは……」
月居くんと目を合わせられなかった。恋人でもないのに何を言ってるの。期待してしまいそうな自分がいる。
「どうせアドレス帳には男の番号ばっかりだろ」
「二桁もないです」
「……は?」
「家族と友達と……二桁もない」
「……」
「どうせっ寂しい人間だよっ!!」
私はムキになって答えた。普通の人はどれだけあるんだろう。二桁以上はあるのかな。
月居くんは小さく息を吐くと、私を掴んでいた手とは反対側の手でポケットから携帯電話を取り出した。
「早いね、打つの」
「……昔から器用なんだ」
「へぇ」
「ほら」
「え?」
「……アドレス帳、増やせよ」
「それって」
「俺のでも二桁いかないのか?」
「……あ、ギリギリいく」
ちょっと……ううん、すごく嬉しかった。月居くんの優しさと、番号と埋まっていくことが。
目の奥が熱くなって泣く瞬間みたいになった。
「……なに泣いてるんだよ」
「あれ……なんでかな、分かんない」
「そんなに寂しいのかよ。数が埋まれば良いってもんじゃないだろ」
「ちがうのっ」
「だったら何だよ」
「……こういうとき、黙っててよ」
「……女心なんて知るか」
「良いよ知らなくて。知ってたら月居くん、女の子になっちゃうし」
「なんだよ、それ」
笑ったような声がした。ケンカどはなく、ただの話し言葉。アドレス帳で確認する月居くんの名前。名字しかなくて、私たち同じ書き方をしてる。
わたし、少しだけ月居くんに近付けた。