それでも 求めてる
気付いたら、朝で、
『…おはよ』
先輩の方が先に起きてて
「おはようございます」
『夢ちゃん、パンでいい?』
ニコッと笑う先輩。
「はいっ」
だからあたしも笑う。
『…ねぇ、夢ちゃん?』
「はい?」
『手首の傷…どしたの?』
「…あ」
あたし、バカだ。
いつもしてたリストバンド。
なんで、今日はしなかったんだろ。
「ね、ねこに…」
なんてバカな言い訳してみた。
『夢ちゃん?俺、前言ったよね?頼っていいんだよって』
「…すいません」
『なんでそんなことするのかは聞かないよ。でもね、次したくなったら俺を呼んで?』
「…え?」
『俺で良かったらそばにいるから』
どこまで、
一体どこまで、ずるい人なの――?