にせパパ、はじめました。
当然だが、外は真冬の極寒で満ちている。


「ぶえっくしょん!」


隣でなんともまあ情けないくしゃみをする翔。

「一応確認だけど…………忘れてないよなぁ?」


俺はわざとらしく言う。

「唐揚げとー?なんだっけ……エロほバチンッいってーっ!汗」

「なんでそっち方向にいくんだよ!?ゴマ団子だっつーの!」


お下品な言葉が翔の口から漏れるのを無事阻止。

俺は俺でバカ正直に顔が火照ってしまうが。


「……あーあ、なっちゃんってばついに出来たかー…………興味なしって感じだったのになぁ…?」

言葉の意味を理解し、俺は翔の頭を叩く。

「冗談だって!wwだって麗ちゃんにも一目惚れしない男だしな?」


西城の名前が出た途端、俺は少しだけ動揺した。



家庭科の授業後。


あの後からも西城は無駄に俺を避けているように感じる。



授業が終わるたびにそそくさと席を立ったり、隣同士で答え合わせをするときなどは理由をつけて保健室に行ったり……


…………俺、マジで何もしてないよな…………?







しかし、翔はそんな俺の思考など知らず


「麗ちゃん可愛いよな~…………マジ天使……!」

と、一人で浮かれていた。



俺は若干複雑な内心で少々呆れながら、翔の手をグイッと引っ張り


少し駆け足をしてコンビニへ向かった。













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