にせパパ、はじめました。
腹に響く痛み。


……どんだけのスピードで走ってきてんだ!


「いてて…………コラ、冬!あんまり走ったらダメだろ!」


まさか帰宅後すぐに突進されるとは思ってもなかった。

覚悟をしてなかったので、二倍ぐらいの衝撃が……


しかし、冬はカクンと首を傾けると


「?パパが帰ってきたから嬉しかったんだよ!あ、おかえりなさい!」


と言って、ギューっと抱きついてきた。


………………不意討ちっ。


「……おう…………ただいま」








『おかえり』


…………なんていい響きなんだろう。

久しぶりの感覚に、ジーンと胸が熱くなった。


いくらまだ出会ったばかりとはいえ、こうして挨拶が出来るのは、やはり嬉しいものだ。



「ねー、パパ!」

「ん?どうした?」


冬は俺の考えなどは当然知るはずもないので、陽気に話しかけてきた。


「………………ふゆね




パパと明日、どこか行きたい……!」


冬は廊下にあるカレンダーの、明日の日付の部分を指差す。

…………日付は土曜日なので、大丈夫だ。




「……いいけど…………何するんだ……?」


おもちゃとかお菓子とか、そんな感じのを見るんだろうか?

まあ他に見るものもないよな。


「んー………………えとね…………お菓子とかおもちゃとか……」


お、予想通り。


「あと…………………………ママを捜す!」


………………じゃなかった。

















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