にせパパ、はじめました。
「ママ…………!?」


ふいに顔がボボボと火照ってしまう。

ま…………ママ……って…………汗


「うん。…………ママ、どこにいるんだろう………」


少しだけ寂しそうな表情をする冬。


…………そういえば俺…………

冬の両親のこと、まだなにも知らない……………


「……冬。とりあえずリビングに行こう」


そういえばここ、玄関だ。


「うん」


そう言うと冬は素直にリビングへ行った。

そういうのを見ると、虐待やいじめなどを受けている形跡はないように見える。






ガチャ






リビングは暖房がはいっているため、とても暖かい。


「よし……なぁ冬」



冬はどこから出してきたのか、コーラが入ったペットボトルを手に持っていた。

キャップを開け、ごくごくと小さな喉に流し込んでいる。


「プハッ……ん?なぁにパパー?」


「……あのさ…………」

俺は両親のことについて聞こうかと思った。


……あ、確か昨日も聞いてたよな。

話にならなかったんだった。



「…………いや、何もない。さ、ご飯にしようか」

とりあえず今はまだいいかと思い、エプロンを巻く。


冬は「?」という表情をしたが、すぐ笑顔になった。





…………うむ、可愛い。













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