にせパパ、はじめました。
「焼けたぞー冬、その棚からお皿出して」
ジューと魚の焼ける音。
たまたま冷蔵庫にあったので、二匹とも焼いてみた。
ちなみに魚は秋刀魚だ。
「は~いっ!おさらおさら……………」
ガタガタと棚をいじる冬。
ああ………大丈夫だろうか………………汗
「気を付けろよ……落としたら洒落にならないぞ………」
ただでさえあまりにも小さい手なんだ。
というか、あんなに小さい手だとは思わなかった。
俺は内心ちょっとだけ焦りながら、冬が持ってきてくれた皿に魚をのせた。
途端に香ばしい匂いが漂う。
…………うまく焼けたかな。
「おさかな美味しそうー!」
「だろ………………ふっ」
ちょっとだけきめてみた。
冬はなにそれーと笑うと、魚を机に運んだ。
あとはサラダだな。
・
夜食後。
どうやら冬は満足してくれたようだ。
「ん~……さて、お風呂入りますか…」
時刻もすでに22時過ぎを指している。
明日は冬と出かけるし、早めに準備した方がいいだろう。
「……ふゆ、お風呂まだ入らない?」
「俺が入ってからだ。ちょっと待ってろ……」
本当は別に一緒に入ってもいいんだが……
法に触れそうなのでやめる。
「じゃあ、入ってくるな」
「えー……一人はつまんないよ~。ふゆも一緒に…………」
冬が一緒に入りたいという言葉を言いたそうにしている。
危ない。
続きの言葉が聞こえないうちに、ダッシュで風呂場に行った。