にせパパ、はじめました。
ガコンッ



「ん。……ココア、飲めるか?」


財布には、ココアの値段ちょうどのお金が入っていた。


まあこれなら飲んだこともあるだろうし…………大丈夫だよな。



「……!わ~……あったかぁい………ふふふっ…ありがとパパ!」


ココアを渡した瞬間、一気に顔が明るくなった。


「ああ。嬉しいなら良かったよ」


そう言って俺はベンチに腰かけた。

女の子もマネをして隣に座る。





………………さて…………



「……ココア美味しいか?」


「うん!茶色けどおいしいよ!」



飲み物を買ったら立ち去ろう。


そう思っていたんだが……



「……名前、何ていうんだ?」

「分かんないっ!」

「……何歳?」

「100しゃい!」

「…………どこから来た?」

「どっか!」

「…………俺は?」

「パパだよっ!!」



こりゃだめだ。話にならない…………汗


「……名前も分からないのか?」

「う~ん…………名前……分かんない…………」


隣でうーんうーんと唸り続ける女の子。


…………何か、精神的なダメージでも受けたんだろうか……?


名前も分からないなんて、それじゃ一体どうすればいいんだよ……



俺もうーんうーんと唸る。


「……何も分からないのか?」

問い詰めるも、女の子はココアで口をクチュクチュしながら首を横に振るだけ。


……困ったなぁ。





























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