にせパパ、はじめました。
思考を巡らせて数秒間。


…………結論の欠片ひとつもでないな……

名前が分からないなら当然迷子届けを警察に届けることは不可能だし、何よりなついてるし。

警察に行ったところで「パパ」と一言でも言われてみろ。


あなた何しに来たんですかで終わるぞ!


「はぁー……けど……ここに置き去りにするのもなぁ………」


見た感じ、誰かとはぐれてるって感じじゃないし……


「…ねーパパ………どっか行こうよーっ」バタバタ


…………さっきのが嘘みたいに元気だし。




「…………どこにいたかも分からないんだな?」



俺の質問に女の子はコクッと小さく頷き、しょぼんとしている。


…………つまり、家が無い……ってことか……





「……………なら














…………俺ん家、来るか?」







そんな言葉が、自然に口から溢れていた。


















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