殺人鬼兄弟といじめられっ子が出会ってみた



井崎さんに簡単にお礼と挨拶を言うと、職員室に走った。



そうだ。さっき説明しようとしていたワスレナグサの花言葉は
“真実の友情”
“誠の愛”

そして、
“私を忘れないで”








「はぁ…はぁ…い、いるかな…?」



階段を駆け上がり、職員室までの廊下を歩いている。疲れた…

やっとついたと職員室のドアに手をかけた時。微かに声が聞こえた。



『……私と…って…?』

『………から……無理…』



しかも二人?誰かが話してる?

恐る恐るドアの覗き窓を見て確認すると、慌ててその場にしゃがみ込んだ。

口元を手で押さえ、息を潜める。


中にいたのは東雲先生と保健医の
【沙音目昭子(さおとめ しょうこ)】
先生だ。

彼女は私の入学と同時にこの学校にやってきた先生で、美人で優しいと評判だ。

ただしイケメン系統の男子にはめちゃくちゃ甘い。
数人怪我した時はイケメン男子優先、保健の授業ではイケメン男子をひいきする。噂では何人かの気に入った子と関係もっているとかなんとか…


私みたいな子にも多少声をかけてくれるところはいいとは思うけど、男関係がひどすぎて好きにはなれない先生。


そんな先生が、東雲先生に何の用があるんだろ。しかもさっき見た時、東雲先生の机に沙音目先生が乗って、向き合っててなんか怪しかった…

ふと、気になった私はしゃがみ込んだままドアに顔を寄せ、耳をすました。



『付き合うのがダメなら今夜どう?退屈させないわよ?ねぇ…東雲先生』

『だから……無理ですって…』

『“あの時の子”は良くって私はダメなの…?ねぇ?』

『見てた、んすか…………はぁ……
…あれはその場の…回避方法です…よ』

『その回避方法…私には使ってくれない…の?』

『ですから………』



…簡単に言うと、
“関係を持ちたい沙音目先生

とてつもなく拒否している東雲先生”
な状況にあるってことか。

んで、あの時の子って…多分文槻かな。
そうなってるだろうなとは思ったけど。あの人粘着質だし。


しっかし参ったなぁ…これじゃあ反省文渡すに渡せないし、そもそも入る勇気ないし、帰ったら後日何言われるか…


しばらくして、ドアの方を向いたまま、静かに立ち上がった。もちろん覗き窓にうつらないよう注意しながら。


教室に戻ろう。
んで、いなくなったときを見計らって、置き手紙と反省文置いて、帰る!手紙に理由を書いといたら大丈夫でしょう!


決心した……その時。



「なぁ〜にしぃ〜てる〜の?」



不気味な笑顔を貼り付けた篠座先生が背後に佇んでいたのに気づいた。


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