殺人鬼兄弟といじめられっ子が出会ってみた
夜に賑わう繁華街。
道路の真ん中を歩く2人の男。
彼らを通り過ぎるたびに何人もの女性が振り返る。
それほどまでに2人はこの世のものとは言えないほど顔が整っていた。
「不機嫌になると誰彼構わずいちゃもんつけてはやっちゃう“クセ”直しなさいねぇ…処理が面倒なんだから…」
「………ごめ……」
「ま、いいけどさ。久しぶりに綺麗なの見れたし。我ながら綺麗にできたし」
「………ならいいじゃん………」
「なんか言ったかい?依(より)」
「なんでも、ない…夜(よる)兄」
そう…実はこの美形の2人、兄弟だ。
片耳の後ろを三つ編みし、細い目で常時笑みを浮かべた美形は、兄の
【師忘夜(しわす よる)】
パーマなのか寝癖なのかわからない髪型で、眠たそうな目をした無表情は、弟の
【師忘依(しわす より)】
である。
「そう。…あ、そういやオジサンから“依頼”きた。今度は【学校】だってさ」
「学校…?…なんで…?」
「なんでも、逃げてからは“学校関係者”を隠れ蓑にしてるらしいよ」
「ふぅん…めんどいね…」
「人多いしタイミング難しいから嫌だっつったんだけどさぁ……弾むっていうから…いつもの5倍…」
「!…なら、しょうがない……ね」
「そ。…てなわけで、明日から俺は“臨時化学教師”。依は“臨時体育教師”ってことで。あ、もう手続き的なのは済ませてるから」
「はやっ………てか、臨時………」
「オジサンの手回しは早ぇのよぉ〜。体育なら無口なお前でもなんとかなるでしょ?」
「…ん…多分…」
「んじゃ!明日から
楽しい
楽しい
学校
ですよー…!」
繁華街を抜け、着いた場所はとある高校。
2人は暗く、人気も無い学校の校門前に立ち、これから行く学校を見据えていた…