殺人鬼兄弟といじめられっ子が出会ってみた

〜2〜





臨時教師が来てから一週間がたった。



篠座先生の方は慣れたのかどうかわからないけど、見かけるたびに女子生徒がくっついている。
それだけではなく、若い女の先生や、購買のおばさんまでもが先生の虜に。


何これフェロモン?怖いわー…


一方、東雲先生の方は無口無表情で近寄り難いのか陰で見てる子が多い。
しかし、東雲先生のが厄介になっていて、着任してすぐにできた“東雲親衛隊”が先生に近づく女子に目を光らせていた。

他の先生に頼まれた言伝や、あいさつですら厳しく言われる。




ま、関わらないようにしている私にとっては何も害がないのでそれは良い。
さらに良いことに、私へのいじめが減ったのには助かった。

陰口や悪口の手紙は多々あるが、靴などの私物がなくなったり、机がなくなったり、ノートや教科書に何か書かれることもなくなったから。
…お金がかかるからさー…


というか、それほどまでに先生方に自分を良く見せたいのかっ…てな。








臨時化学教師の授業は昨日で、今日は臨時体育教師の授業。


いやーしかし…昨日はひどかった…

いつもはあまりいないケバい女達が授業に出席している。けど、ちゃんと聞いてないのか、話が途切れた所を狙ってはプライベートな質問が飛びかうのだ。

先生は先生で、ある程度の質問は答えるし…一向に進まない…



だけど、この先生の授業は驚いたことに休養中の山田先生よりめちゃくちゃ分かりやすい。これだけは唯一の救い。



そして今日は体育。しかもバスケ。
男子は外で長距離走みたいだから、臨時の先生が今日は受け持つことに。
…休みたい…


ピィーーー!!


東雲先生が笛を鳴らし、集合をかける。
みんな走って向かうが、私はのんびり行きますよ。



「あーっと、今日は…レイアップシュート、の練習。んで…チーム決めて練習試合する……まずチーム決めて…」



いつものようにゆっくりと言葉少なめに言うと、班決めを促した。

チーム決めが、1番キツい…



「夢月さ〜ん!!一緒にやろぉ〜!!」



1番私に向かってくるケバい女グループリーダーの
【文槻花梨(ふみづき かりん)】
が私にニコニコと笑顔で言った。


何急に…気持ち悪いなぁ…
でも断ったら後々めんどくさいことになるし…



「わ、わかった…」

「決まりっ!東雲センセぇ〜!うちらこのチームで決まったよぉ〜!!」



返事をするとすぐに彼女は東雲先生の所へ向かった。………猫かぶり。


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