それは、ナイショの恋*【短編集】
いつ好きと気づいたかなんて分かりっこない。




顧問の、熊谷先生。みんなは、熊谷先生を『クマちゃん』と呼ぶ。



たまに、先生も生徒たちがそう呼んでるのを聞いて、ちゃんと「先生つけろよ!」なんて笑いながら叱ってるのを見ることがあったり。






「桃子(とうこ)、今日も残んのか?」



みんなが、帰ったあとも私は走り続けていた。


先生は、そんな私に気づいて声をかけてくれたらしい。





「はい、まだちょっと走り足りなくて。」




私が言うと「すげーな、感心するわ。」と目を見開いた。




・・・・・いえ、先生。違いますよ。先生ともっと一緒にいたいだけなんです。





だって、たまに残って走って行くでしょ。


それ知ってるから。



そんなことを思いながら、私はゆっくり足を動かし始める。



・・・・ってゆうか、辞めてもらいたい、トウコって呼ぶの。



ましてや、桃子って書いて、なんで「トウコ」なんだ。



もっと、可愛い名前が良かったな。




「私の名前、なんでトウコなんですかね?どうせなら、モモコの方が良かったです。」



そしたら、名前だけでも可愛くなれそうだし−−−−−−



私は、そう言っておもっいきり走り出した。



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