それは、ナイショの恋*【短編集】
イーゼルに立たされているキャンパスをずっと見ていたくなった。




「興味あるの?」




絵の具の独特のニオイが教室中を駈けずり回っている。


大きく思いっきり画かれている向日葵が私を吸いこんでしまいそう・・・・・・。そのボソっと「吸いこまれそう」とゆうセリフは、三木センパイの耳にも届いているらしく、フッと近くで笑われた。





「わ、私・・・・好きです!大好きですっ!こうゆう絵・・・・」




一瞬そう言うために三木センパイを見たが、再びキャンパスに私は吸い込まれていった。




キレイな色合、鮮やかなタッチ。どれもこれも、私にベストワンしていた。




「・・・・・全然じゃん、これ今の俺には暗く見えるから。」




「えっ、どうして?」




私は、センパイを不安そうに見るとセンパイは、ごまかすように笑っていた。



暗くないよ? 向日葵が明るい色合じゃない?


私は、自分のセンスがまだないのかと思い深く追求はしなかった。


でも、センパイは確かに暗く見えていたんだ。



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