それは、ナイショの恋*【短編集】
案の定なのか、夏の終わりなのか、センパイは前のめりに足を崩してしまう。


私の手を繋いでいるから、私も一緒に廊下のコンクリートに転んでしまって、目を瞑る。




「センパイ!大丈夫?」




すぐ、私は起き上がれたけど、センパイはなんか息苦しそうだった。



「えっ、ちょっとどうしたら!」




アタフタしていると、すうっとセンパイの長い腕が伸びてきて、私は何が起きているのか分からなかった。センパイが、キスした・・・・?って頭で理解するのに時間がかかる。






何故こうなったのか分からない。センパイは私を見つめて言うんだ。












−−−−−−−「香鈴、俺と寝てくれない?」








すがるような声で、砕け散ってしまうほどの眼差しで、いつかセンパイが消えてしまいそうな気がした。




私は、静かに頷く。




センパイは、当たり前が欲しかった?



私、この事もいつか忘れてしまうのかな?





「センパイ、私・・・・す――――・・・んっ。」



好きと言おうとしたが、センパイの唇が離れなかった。




「いつかちゃんと、言えよ。今は、良いから。」







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