それは、ナイショの恋*【短編集】
「俺は、似合っていると思うけど。可愛いじゃないか。」



カワイイジャナイカ−−−−−−−−?



さすが陸上部の顧問であって、現役の私にいとも簡単に追いついた先生。「やっぱり、早いな。」なんて笑いながら。



先生の言ってくれたセリフが私を傷つけまいとお世辞で言ってくれているのは百も承知だ。
私は、先生にそんな訳ないといったように否定的に、右手をパタパタさせた。

大人ってお世辞も上手くなるのかな。大人になるにつれて、お世辞も必要になってくるのかな?



どんな大人になったら良いんだろう・・・・



「そんなことないぞー。芯がしっかりしてるのに、ちゃんと優しさも持ちあわせてるじゃないか。」



「えへへ、照れます・・・・」



私の気を知らないでこんなことを言う先生って侮れないよ。


さすがだよ。ただモノじゃないよ。




「大人って大変ですね、思ってもないこと言わなきゃならないんですから。」



「本当だって。なんなら俺の頭ン中見せてやろうか?」




先生は、笑いながら私にペースを合わせてくれている。

 
簡単にそうじゃないって思うのは私の悪いクセなのかもね・・・・・私は「先生が言うなら」と走るスピードを早くして、先生を追い越した。







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