7時45分発、県庁行き



こうして同じバスに乗り、あなたを見る事しか出来ない。


それでも満足。


それ以上あなたを知りたいと思うのは駄目な気がして。


バスは進む。


進めば必然的に到着地点に近付いている事。


‘8分’


それは私がバスに乗り、一日の中で、あなたの顔を見られる時間の事。


ああ、どうしてあなたも私ももっと先の高校に通っていないのか。


もっと同じバスに居たいよ。


黒髪から覗くその瞳も、私より20センチ近く高い背も、つり革を握る手も、その大きな足も。


大好きなあなた全て目に焼き付ける。


今日辛い事があるかもしれない。


今日悲しい事があるかもしれない。


そんな時に今焼き付けるあなたを浮かび元気になれるように。


私は目に焼き付ける。



< 4 / 8 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop