7時45分発、県庁行き
人よりも相手の反応に敏感なはずが、今だけは敏感じゃなかったりするのかな。
もしもそうなら、盗み見る事をしてはいけない。
あなたを見る事すら出来なくなったら、私は辛くて辛くてどうする事も出来なくなる。
手袋をしている手をぎゅっと握る。
――ドクンドクン。
ガタンとバスがとまる衝撃を感じた。
ああ、もう着いてしまった。
あなたがいつも降りてしまうバス停に。
つり革を握るその手が離れ、降り口に向かっていく。
今日も8分が終わってしまった。
バスの段差をおり、バスの扉がしまる。
ちらりと窓から外を見るとちらちら降る雪の下、あなたは真っ直ぐ歩いていく。
白い息。
私もあなた同様白い息は吐く事が出来るのに、どうしてなんだろう。