ねぇ
『あの…』
『はい…?』
『どうして、私に声を…?』
『それが…俺にもよく分からなくて』
『はあ…』
なんとなく、というやつだろうか…?
つい、気の抜けた返事を返してしまった。
『こんなところで立ち話もなんですし、あそこでも入りませんか?』
『え、あ…はい』
彼のペースに流されるまま、近くにあった喫茶店に入った。
店内は、今日がクリスマスなせいもあってか、程よく混んでいた。
空いている席を見つけ、向かい合わせに座り、コーヒーを頼んだ時点であることに気づいた。
―――あれ、なんかこれって
『クリスマスデート、みたいですね』
『へっ!?』
『ん?何かおかしいこと言いました?』
い、言ってます!!
出会って5、6分の女に、貴方みたいなイケメンが…!!
でも、そんなにサラッと言うってことは意識してない証拠、だよね…。
――なんで私、がっかりしてるの…?