ねぇ
会話も一段落したところで(?)
コーヒーが運ばれてきた。
一口飲むと温かさと心地良い苦味が広がった。
『あ、けっこう美味しいね』
『うん、このブレンド気に入ったかも…』
ほっと一息つくと、
『じゃあ、取りあえず自己紹介しようか』
彼の言葉で自己紹介が始まった。
『俺は沖田蒼(おきた あおい)
K大の2年で、特技ほギター。
えっと……よろしく……?』
ちょっと疑問形だったけど、手を差し出されたので握手をした。
指が細長くて綺麗なんだけど
握ってみると私よりかなり大きく、指の皮が、厚かった。
『えっと、私は、吉野紗綾(よしの さあや)
N大の1年生で、特技ってほどのものでもないけど、歌うことが好き、です』
『1年生だったんだ』
『もしかして…年上だと思った?』
『あ、いや、そういうことじゃなくて…っ』
慌てる彼が面白くて、小さく笑っていると
彼はいきなり優しい表情になって
その顔が綺麗すぎて胸がドキリと鳴った。
『紗綾は笑顔の方が似合うね』
『へっ…!?』
ま、またそんな恥ずかしいことを惜しげもなく……!!!!
でも……
『あ、ありがとう…あお、い』
よかった、素直に言えた。