【完結】遺族の強い希望により
「あははは! さすがね玲奈。隠し事をした罰ね。お父さん、今頃胸焼けで顔しかめてるわよ」


玲奈はさすがに、まだ母親と一緒になって声をあげて笑うことはしなかった。
けれど、どこか満足したような表情で顎を突き出している。
さっきまで俯いていた玲奈とは別人のようだった。


みのりはただおろおろとするばかりだ。
何故声をあげて笑えるのか、理解しがたかった。
あの、と、居たたまれなくて横から口を挟む。

「すみません、お父さんが甘いもの苦手だったとは……」

「いいのよ。ありがとう、あなたのおかげよ」


謝罪は途中で遮られた。
何が自分のおかげなのかはさっぱり分からないが、咎められているわけではない、というのだけは相手の柔らかい表情から読み取ることが出来た。
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