【完結】遺族の強い希望により
「あの……私、ここにいていいんですか?」

思い切ってそう聞いてみると、周りはそろってきょとんとしている。

亮が肘で突き、「それさっき俺が聞いただろ」と小声で耳打ちしてきた。
思わず「だって」と言いかけた時、玲奈が口を開く。

「お母さんがみのりを追い出すつもりなら、私がお母さんを追い払うわ」

「えっ!」

慌てるみのりを尻目に、玲奈の母も可笑しそうに笑っている。

「あらあら、じゃあ尚更、いてもらわないと困るわねえ」


いつの間にか、随分和んで寛いだ空気が出来上がっていた。
ついさっきまではピリピリと張りつめていなかったか。
何が流れを変えたのかみのりには考えつかなかったが、それでも先ほどまでのような居心地の悪さはない。
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