【完結】遺族の強い希望により
「もしそうなったら――」

と、彼女の方が言葉を引き継いだ。

「とても、素敵ね……」


望んでいた、互いに。


ここにもし奇跡が起こったら、親も教師も、認めざるを得ないだろうと思った。
この先も一緒にいることが、もしかしたら許されるかもしれない。

どちらの国になるかは分からない。
けれどそこには何の問題もなかった。
もしも全て失っても、それでずっと離れ離れにならずに済むのなら本望だった。


こどもを授かる――それだけが2人に残された小さな希望のように思えた。
その僅かな可能性に縋ることに、躊躇いはない。
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