【完結】遺族の強い希望により
「ねえ、ちょっと冷静に聞いてくれる?」

と、みのりは自分の意見を述べる意を決した。


「私、妊娠したことを言わなかった彼女の気持ち、よく分かるわ……多分」

そこまで言って、ちらりと玲奈の表情を窺った。


玲奈にしたら、父親の元恋人は家族を脅かす危険を孕んだ所謂『敵』のようなものとも言える。
そのジェシカを庇い立てすることは、彼女を悪戯に傷付けるだけかもしれなかった。

思っても、口には出さず胸に秘めておくのが正しい選択かもしれない。
だがみのりは、妊娠を告げなかったジェシカをどうしても悪者のままにはしておけなかった。
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