【完結】遺族の強い希望により

玲奈は黙ったまま先を促すように小さく頷いたが、みのりはまだ話し始めず、続けて亮の様子を確認した。
訝しげに眉を寄せている。

彼には理解しがたいのかもしれない。
隆司と同じく日本で育った日本の男だ。
基本的には真面目で誠実なところも良く似ているように思えた。

だから隆司と同様に、どんな状況であれ子どもが出来たのなら責任を取るべきだと考えているのだろうし、当然男には知る権利があるとも思うのだろう。


昔付き合っていた相手だ。
大学で新生活をスタートさせている亮にとっては遠い昔のことかもしれないが、家に引きこもっていたみのりにとってはついこの間のことである。

身体を重ねたこともあった。
そういう相手に妊娠についての考え方を知られることに、気まずいものがないわけではない。