【完結】遺族の強い希望により
それでも言うべきだ、と、みのりは瞑目し、心を決め直した。
ジェシカの、隆司には報せずに1人で子どもを産むという決断が、誰かに責められなければならないような悪いことだったとは彼女には思えなかったから。
「――簡単なことよ。好きだったからよ」
「ちょ……と、待てよ。だったら尚更」
「書いてあったんでしょう、彼女の日記にも。好きって気持ちだけではどうにもならないことがあるのよ。ジェシカにとってはそれが海を跨いだ隆司との距離で、文化や価値観の違いで、若すぎた2人の年齢だった」
「私、分からない。だって彼女のために全てを捨てても良いって思えるくらい、父は彼女のことを愛していたのに」
「うん、だから」
――愛していたから。愛されているのが分かっていたなら、きっと、尚更だ。
ジェシカの、隆司には報せずに1人で子どもを産むという決断が、誰かに責められなければならないような悪いことだったとは彼女には思えなかったから。
「――簡単なことよ。好きだったからよ」
「ちょ……と、待てよ。だったら尚更」
「書いてあったんでしょう、彼女の日記にも。好きって気持ちだけではどうにもならないことがあるのよ。ジェシカにとってはそれが海を跨いだ隆司との距離で、文化や価値観の違いで、若すぎた2人の年齢だった」
「私、分からない。だって彼女のために全てを捨てても良いって思えるくらい、父は彼女のことを愛していたのに」
「うん、だから」
――愛していたから。愛されているのが分かっていたなら、きっと、尚更だ。