【完結】遺族の強い希望により
「自分は育った国を捨てられないと、彼女は留学中に実感した。彼は頼めばきっと、日本を捨ててこちらへ来てくれるに違いない。何故なら彼は自分のことを、そうしても構わないと思えるくらいに愛しているから」


玲奈は首を傾げ、亮は顔をしかめた。
それこそ隆司とジェシカが辿り着くべきハッピーエンドの行方のように思っているのかもしれない。
だがみのりには、そうは思えなかった。


「好きな人が自分のせいで苦しむのを見るのは、私だったら嫌だ。ましてや生まれ育った国の家族や友人と離れて異なる文化の中で、自分が淋しい思いや辛い思いをした後でしょう。自分で辛かったことを、相手に我慢させたくないよ」
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