【完結】遺族の強い希望により
「隆司は家族を敵にまわすかもしれない……。ねえ、日本ほどガチガチの枠に囚われてはいないようだけど、ファミリーという考え方は、向こうの方が凄く大事にしているように感じた。だとしたら余計、彼女にとってはそれは耐え難いことだったんじゃないかな」


それはみのりが交換日記を読んでいる間に受けた印象だった。
オーストラリアの国民性なのか単にジェシカ自身の家族観が現れていただけなのかは分からないが、彼女はとても家族を大切に思っていたようだった。


「それもそうね」と、玲奈は納得したようだった。
どこか淋しそうに、仕方がなかったんだと呟く。

そのおかげで今玲奈がいるのだと言ってやりたかったが、複雑であろう彼女の心境にはなんの慰めにもならない気がしてみのりは口を噤んだ。
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