【完結】遺族の強い希望により
内心では心底ほっとしていた。

当然父親には報せるべきだった、という2人の最初の考えは、彼女にとっても決して分からないものではない。

問題は報せないことを致し方なしと納得してもらえた後、次に出てくるかもしれない別の可能性にあった。


『産まなければ良かったのでは』

万が一にも彼らの口からそんな言葉を聞かされたら、みのりの心は崩壊していたかもしれない。


隆司の娘という立場的、心情的に、玲奈がその選択肢に辿り着く可能性は十分にあるように思われた。
彼女がそうは言わなかったのは、やはり2人の日記を読む内に肩入れする気持ちが芽生えていたからなのか、それとも女としての本能か。
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