【完結】遺族の強い希望により
正確なところはみのりには知りようがないが、玲奈に『堕ろす』という考えが生まれなかったのは救いだった。

或いは可能性としては思い当たっていても、玲奈の良心がそれを示唆することを許さなかったのかもしれないが。


より客観的に事実を捉えているだろう亮は、どう思っているのだろう――不安だった。
男の目からこの出来事を外側から見た時、どんな風に映るのか。

彼も堕胎については一言も触れなかった。
けれど、玲奈やみのりに気を遣って口にしないだけなのかもしれない。

隠された本音など探りようがなかった。
否、みのりはそれを知ることが恐ろしくて、亮の顔を見ることすら出来なかった。
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