【完結】遺族の強い希望により
「珍しいわね、エアメールなんて」

ぎくりとした。

そう言えば郵便受けを開けたのは妻だった。
夫宛ての私信を勝手に開封するようなことは勿論ないが、封筒を見ればそれが海外から送られたものであることは一目瞭然だろう。

咄嗟には何も言えなかった隆司に、妻は続ける。

「海外にお友達がいるの? それともお仕事かしら」


――仕事?

その質問に、隆司は戸惑った。

高校教師の世界は狭い。
自国どころか学校から外に出ることはほとんどないと言っても良かった。
一体何故彼女は、海外からの手紙と仕事を結び付けて考えたりできるのだろう。
< 154 / 450 >

この作品をシェア

pagetop