【完結】遺族の強い希望により
どのように2人が顔を合わせ、元恋人として、また親として、どんな会話を交わしたのかはそこに残された手紙には書かれていない。

隆司がジェシカの娘との対面を果たした時に何をどう感じたのかも、何も残されていなかった。
最初のジェシカからの手紙同様、2人共その子が『隆司の』子どもだとはどこにも記していない。

会った時に口頭で確認したかその内容が書かれた手紙がここにないだけか、もしくは隆司は確認などせずともその子をひと目見ただけで確信したのか。
或いはもしかしたら、ぎりぎりのところでグレーにしておくことこそが、20年の空白を経た後の2人の再会に必要なことだったのか。
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