【完結】遺族の強い希望により
彼は何のアルバイトをしているのだろう。
講義がはじまるぎりぎりとは、具体的にいつを指すのだろう。
亮と玲奈は分かりあっているらしい会話が、みのりには分からない。

場違いに思考が自分と亮とのことに囚われ、唇を噛んだ。


――しっかりしろ。今は、玲奈のことだ。


みのりが考え耽っている間に、彼女は決めたようだった。

「もしもう一回呼んだら、2人共、また来てくれる?」

と聞いてくる。
やはり今日最後の手紙に手を伸ばすには、心が疲れすぎているのだろう。


「こっちにいる間なら、俺は」

「もちろん、私も来るよ」

答えた2人に、玲奈は力なく微笑んでありがとうと言った。
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