【完結】遺族の強い希望により
深夜だった。
既に日付が変わりクリスマスを迎えていたが、彼女が気にしたのは時間だけだった。
そうやって時計を見ることすら、酷く久しぶりだった。


震える指が、携帯を起動させる。


亮との空白の時間。
閉ざされていた自身の時間。
誰かに連絡するには遅過ぎる、今の時間。

静かな部屋に聞こえるのは、パソコンがあげる微かな唸りと、時を刻む針の音だけだった。
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