【完結】遺族の強い希望により
「何も……言ってきてないから……」

だから多分、家で食事の用意はされているだろう。


けれど母親は、久しぶりにみのりが外出の支度をしているのを見て喜んでいたようだった。

連絡さえ入れれば、少し帰りが遅くなっても両親にとって喜ばしいことなのかもしれない。
それとも久しぶりの外出だからこそ、心配するだろうか。
みのりには判断が付かなかった。


ずっと引きこもっていることに、もう両親は何も言ってこなくなっていた。
初めの頃はこのままではいけないと思っていたみのり自身も、いつのまにかその生活が当たり前になっていた。

そんな生活をしてきたことを、両親に対して申し訳ないと感じたのは実に久しぶりのことだった。
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