【完結】遺族の強い希望により
「うん、全然大丈夫だったよ……ごめんね、心配かけて」

これからはきちんとした人間らしい生活を送るようにする、とは、現段階で約束することは出来なかった。
それでも母には十分だったようで、いいのよ、と嬉しそうな言葉が返ってくる。


『それで? 玲奈ちゃんのお宅でご馳走になってくるの? それならご挨拶したいから、電話代わって……』

「あ、違う! あの」

母が誤解をしたようなので、慌てて否定する。

だがこの後、何と説明すれば良いのだろう。
亮の名前を出すべきかどうか、みのりは少しだけ迷った。


『みのり?』

と、突然黙った彼女に、母が心配そうに呼びかけてくる。

「玲奈の家は、もう出てきたから。ごはんは、一緒に玲奈の家に行った友達と」

結局彼女は、亮の名を言うことが出来なかった。
友達、という表現は、決して嘘ではない。
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