【完結】遺族の強い希望により
それだけならば、死因を――死に方を公表することは出来たのではないだろうか。

確かに公表してしまえば、隆司が助けた相手のことはある程度取りざたされることになるかもしれない。

が、隆司とその子の血縁関係まで調べ上げられて曝されることには、果たしてなっただろうか。
世間的に見れば、ホームステイ先の女の子というだけで済んだのではないだろうか。

それならば周りから不審に思われることも妙な中傷を受けることもない。
玲奈が余計な真実を知る必要もなかった。


考えれば考えるほどに、違和感が膨らんでいく。


「本当だ……、おかしいね。私、玲奈に隆司とジェシカの娘のこととかを隠そうとしたんだと思ってた」

「だろ？　それなら普通に公表しちまった方が、知られずに済んだと思うんだよ」


では何故玲奈の母は、隆司の死因を公表しなかったのだろう。
その答えが最後に残した手紙の内容なのだろうか。
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