【完結】遺族の強い希望により
「食後のコーヒー取ってくる」

瞬く間に豪快にボンゴレを平らげた亮は、フォークを置くのとほぼ同時にそう言って立ち上がった。
みのりの皿にはまだ半分近くパスタが残っている。

「みのりもコーヒーでいいか?」

「あ、自分で……」

「いいよ、ゆっくり食ってろ」

言うなり彼は、セルフのドリンクサーバーが置かれたコーナーへと向かっていった。


どこか急いているような印象があった。
彼は確かに元々食べるのが速かったが、以前は、みのりの食事が終わる前に席を立つことはなかったと彼女は記憶している。
食べ終わるまで待っていてくれて、その後で一緒にドリンクを取りに行っていたはずだ。

なんとなく自分も急かされているような落ち着かない気持ちになり、みのりは慌てて残りのパスタを口に運んだ。
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