【完結】遺族の強い希望により
自分の席に着いて持ってきたばかりのコーヒーをブラックのまま半分ほど一気に飲み干した亮の顔色を、探るようにじっと見つめた。

「何だよ? 飲めって。詰ったんじゃねえの」

と、なかなかコーヒーに手をつけようとしないみのりに少々不満顔だった。

「だ、大丈夫。ありがとう」

そう言いながらも、慌ててグラスにミルクをたらす。
ふたつ目のミルクのポーションの蓋を開けかけたところで、みのりの手は止まった。
亮の視線がじっとその手元を捉えているのを感じる。


「……ミルク、ふたつ」

「お前、本当はミルク増し増しなんだろ?」

満足したような自信ありげな笑みが、漸く亮の顔に戻った。

「早く言えよな、そういうことは」


顔が熱を帯びていく。
そこから意識を遠ざけるために、みのりは慌ててコーヒーに最後のミルクを入れるとストローで掻き回した。
液体に白が混ざり、優しい色に変わっていった。
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